地元富山県から上京し、音源リリースやライブなど精力的に活躍中のラッパー・Eto。
自分を偽らない等身大のリリックが最大の魅力です。
そんなEtoさんに、活動にこめている思いや今後の展望などをインタビューしてみました!
ラッパーEtoの経歴や出身地は?
仲間内でフリースタイルをしていた学生時代
――ラップはいつからやっていたんですか?
10年前くらいからHIPHOPに触れるようになり、1人で遊び感覚でラップをするようになりました。
『高校生RAP選手権』が盛り上がり始めてはいたんですけど、周りにはHIPHOPが好きな人はほとんどいなくて。
バトルだけじゃなく、iTunesの上位にランクインしていた音源も聴いていました。
ただ、その頃は本当に遊びでやっていた感じで、MCネームとかもなかったです。
今思うとラップと言っていいかも微妙です(笑)
その5年後の高校を卒業した頃くらいには周りにもHIPHOP好きな人が増え始めて、仲間内でサイファーっぽいことをするようになりました。
――ビートを流してフリースタイルをされていたんですか?
フリースタイルではあったんですけど、小節のこととかあんまりわかっていなかったです(笑)
ただ、そのときからリリックを書くっていうのは少しやっていて。
即興でラップをするのも楽しかったんですけど、リリックを書く方が好きだなっていうのは当時から思っていました。
高校卒業後は、会社員をしながらバイトを3つ掛け持ちする生活を送る
――会社員時代はどんなお仕事をされていたんですか?
薬品会社で5年間働いていて、薬の製造関係の仕事をしていました。
ただ、満足のいく給料を貰えていなくて、本業とは別にバイトを3つ掛け持ちして、働きまくっていました。
――会社員をしながらバイトを3つ…!
本当にずっと働いていましたね。
本業では夜勤もしていたので、朝7時~夜12時まで働く日や、寝ずに夜通し働く日もありました。
給料以外の労働環境もあんまり良くなくて、残業時間が長いうえに、扱っていた薬品の影響で身体に蕁麻疹が出ていたこともあります。
いまだに蕁麻疹は治っていなくて、毎日のように痒さと戦っています…(笑)
Etoにラップを始めたきっかけや楽曲制作のこだわりを質問してみた!
Etoさんに、以下に関する質問をさせていただきました!
- 脱サラしてラップを始めたきっかけ
- ライブ活動について
- 今の生活について
- 楽曲制作をする際にこだわっていること
- これからチャレンジしたいこと
本気で活動をするために、地元富山から知り合いゼロの東京へ
――薬品会社で働いていたということですが、脱サラしてラッパーになろうとしたきっかけをお聞きしたいです!
当時は長時間労働をしながらバイトを3つ掛け持ちしていたのもあって、毎日が体力勝負って感じの日々でした。
そんな日々に嫌気がさして、「自分は本当は何がやりたいんだろう?」って考えた結果、ラッパーとして頑張りたいなって思ったんです。
――そうなんですね…!「待遇が良い会社に転職しよう!」ではなく、「ラッパーになろう!」と思ったのはどうしてなんですか?
もともと自分の性格的に、自分がやった分だけ反映される環境が好きだったんです。
会社員って、あんまり仕事ができなくても給料が同じだったり、年功序列の社風だと能力よりも年次が評価につながったりするじゃないですか。
でも「音楽をやる」ってなったら、自分の頑張りだったり能力が成果につながるので、そこに魅力を感じました。
あとは、大好きな音源のリリックの影響を受けたっていうのもあります。
GADOROさん・MOROHAさん・ZORNさん・不可思議/wonderboyさんが特に好きなんですけど、等身大のことを歌っている曲が多くて。
曲を聴いているうちに、自分の気持ちに正直になって1度きりの人生を悔いなく生きたいっていう想いが芽生えました。
――楽曲の影響もあったんですね!正直、いきなり上京するのは不安じゃなかったですか?
不安よりもワクワクが勝っていました!
周りからは「ラッパーになるなら東京に行かなくてもできるんじゃない?」とも言われたんですけど、
東京の方がチャンスも多いと思ったし、何よりも「地元にいる」っていう環境に甘えたくなかったんですよね。
「誰かが助けてくれるかも」みたいな甘い考えになって本気を出せなくなったら嫌だなって。
思い切って知り合いがゼロの東京に行くことで、やらざるを得ない環境に身を置きたかったんです。
もしそれでできなかったら、ある意味「自分はその程度の人間なんだ」って諦めがつくじゃないですか(笑)
知り合いが全くいない環境から、今では毎月ライブに呼ばれるように
――知り合いがゼロだったと仰っていましたけど、今はいろいろな方と交流されている印象です…!
そうですね、昔はそこまで友達がたくさんいる方ではなかったのもあって、自分でも結構びっくりしています(笑)
東京でHIPHOPをやってる人ってもともと関東近郊に住んでて、知り合いのイベントに呼んでもらうところからのスタートだったりするケースが多いんですけど、
自分はそういうのが全くなかったので最初は「どうしよう!」って感じでした。
でもとりあえずラップがしたかったんでいろんなサイファーに足を運んで、そこで色んな人と仲良くなって…って感じです。
――そうなんですね!特に仲が良いラッパーはだれですか?
尊敬している人やお世話になっている人はたくさんいるんですけど、何人か挙げるとすると笑夢珈琲さん・DraG∞Nさん・巧龍一さんかな。
笑夢珈琲さんとDraG∞Nさんはライブで活躍しているラッパーで、自分のライブを見てアドバイスをくれたりするんです。
プライベートの話もできる仲で、ほんとにリスペクトしてます。
巧龍一さんはR&BシンガーでDraG∞NさんのバックDJもされていて、自分もトラックを作ってもらっていてお世話になってます。
- 笑夢珈琲さん:Instagram Apple Music
- DraG∞Nさん:Instagram YouTube Apple Music
- 巧龍一さん:Instagram YouTube Apple Music
今は個人事業主とラッパーを両立する生活
――今は個人事業主をされているとのことですが、どんなお仕事をしているんですか?
フードデリバリーです!
Uber eatsとかの配達員をやっています。
――会社員とは環境が大きく変わったんですね!
そうですね。
リリックを書いてたら気づいたら朝…みたいなこともあるんですけど、働く時間が融通利くのがありがたいです。
イベントに呼んでもらったときも、「仕事があるから断らなきゃ」ってならないので活動しやすいです。
それこそ働いた分だけお金が入ってくる環境なので、性に合ってます。
ただ、もちろん将来的にはラッパーとして食っていけるようになりたいです!
リリックに嘘はつかず、等身大を綴る
――楽曲制作をするうえでのこだわりについて教えてください!
一番は、「リリックに嘘をつかないこと」です。
もともとリアルなリリックの曲が好きなのもあって、変に自分を良く見せようとせずに、等身大の歌詞を書いています。
人の曲を聴くときも、音よりも言葉を重視して聴くタイプで。
曲で自分のことを自慢したりするんじゃなく、ありのままを綴りたいと思って制作しています。
――音源すべて聞かせていただきましたが、仰る通り、自分の生き方や価値観をありのまま出している印象でした!
ありがとうございます!
ラッパーに対して、「アウトロー」だったり「悪」みたいなイメージを持つ人も居ると思うんですけど、
自分はそういうイメージとはちょっと変わった存在でありたいです。
そういう曲を聴くのも好きですけどね!
あとは、自分でトラックを作ったりっていうのはできないので、これからもその分リリックに注力していきたいです。
――リリックってどういう感じで書いているんですか?
自分の場合は、日ごろから自分が思っていることや日常生活であった出来事をメモしておいて、
書くぞってときにメモを参考にしながら一気に作ることが多いです。
10曲以上分くらいのメモをもとに、1曲のリリックを書くって感じですね。
1~2時間で書きあげることもあれば、1曲のリリックを作るのに1ヶ月以上かかることもあります。
2024年はフルアルバムをリリースしたい
――Etoさんがこれから挑戦したいことを教えてください!
2024年で言ったら、フルアルバムを出したいですね。
最近出したのはEPなので、今度はアルバムっていう形で作品を世に出したいです。
あとは、今までは知り合いに呼んでもらってライブに出ていたんですけど、会ったことのない人からも呼ばれるようになりたいです。
そのためには、SNSの使い方とか考えていかなきゃな~って思います。
――素敵です…!楽曲制作やライブ以外にもあったりしますか?
UMBやKOKの予選にも出ようかなって思っています。
バトルにはあんまり出たことがないんですけど、チャレンジしてみたいです!
リリックが光るEtoの音源!絶対聴くべき3曲を紹介
ここでは、Etoさんの楽曲の中でもとくにおすすめの3曲を紹介します!
『My life』
Eto:社会人として生きていた頃から脱サラしたまでの流れをすべてまとめた楽曲です。
この曲で自分のことを知って貰えたらいいな、と思って作りました。
韻をたくさん散りばめているのもポイントです!
『25条』
Eto:この曲もEPに収録しているものです。
世の中に対して抱えている不満だったり、自分のなかのダサさみたいなのもリアルだと思って、ありのままのリリックを書きました。
『Memory』
Eto:8年前くらいに亡くなったおじいちゃんのことを歌った曲です。
人間は、人から存在を忘れられたときに2回目の死を迎えると思っていて。
自分がこの曲を配信したりライブしたりして人に聴いてもらっているうちは、2回目の死は迎えないんじゃないかなと思っています。
Etoの音源はどこで聴ける?
Etoさんの音源は、主に以下のサブスクで配信中です。
らりすが思うEtoの魅力
Etoさんとの出会いは、『SUP』というイベントです。
ライブ中には「脱サラをしてラッパーになった」とお話しされていて、リリックにも生き様が反映されていて心に響きました。
取材を通じて、自分の気持ちややりたいことに正直に、果敢に行動されている姿に感銘を受けました。
やりたいことがあっても行動できない人が多いなかで、会社員としての生活からラッパーになるべく上京されたのは、なかなかできることじゃないと思います…!
また、知り合いがいない状態から、好きな音楽を通じて人脈を作り、活動の場を自ら広げている姿も素敵です。
Etoは音源リリース・ライブなど精力的に活動中のラッパー!
EPのリリースやライブなど、精力的にラッパーとしての活動を続けているEtoさん。
リアルさを追求した等身大のリリックが魅力的なアーティストです。
今後はフルアルバムの作成にも着手されるとのことで、今後の活躍からも目が離せません…!